いまや東京圏に残されている農地は特定市の分で約3万4800ヘクタールにすぎない。これをすべて50坪の住宅にすると確かに208.8万戸の住宅ができるが、これはあくまで計算のうえでのことである。先にも述べたように、この農地のうち約80%は長期営農継続農地の認定を受けており、農家はまずよほどのことがないと売却する意思はないといえる。東京圏の市街化区域内農地がこれまで年間でどのくらい宅地等に転換されてきたかというと、過去5年間で7436ヘクタール、年平均1487.2ヘクタールである。しかし、農地の宅地転用は近年鈍化しており、昭和60年から61年の1年間ではわずかに868ヘクタールにすぎない。なお、これはすべてが宅地化されたわけではない。実際の宅地分譲面積は、住宅・都市整備公団によるものか177ヘクタール(昭和62年度年初計画)、大手106社によるものか102ヘクタール、合計で279ヘクタールにすぎない。区画数にして1万4000程度と推定される。このほか各県の住宅公社や中小の不動産会社等による宅地の分譲や建売住宅があるから、首都圈全体の戸建て住宅の供給数は1万4000戸をかなり上回るとはみられる。が、それにしても、東京圈(1都3県)の世帯増加数が年間平均21万に達するのに、分譲住宅の供給量がその10%にも満たないという状況は、いかに住宅地が不足し、戸建て住宅が一般に入手しがたいものになるかを十分予想させる。首都圏の住宅地地価は一時期値下がりしても、このままの状況では、再び上昇するであろう。都心から30分から1時間圏内の近郊住宅地の地価は、平均して坪当たり200万〜300万円の水準に戻してしまうであろう。一般のサラリーマンが今回の地価高騰をみて、もはや土地付き住宅を持つのをあきらめたという状況は、抜本的対策が講じられないかぎり、根本的には変わらないであろう。
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